採蜜地 天山

キルギスタンにほど近い、中国は黄河上流のさらに北。ゴビ砂漠とタクラマカン砂漠の狭間に、ヨーロッパとアジアを結ぶように山岳オアシスのとして、天山山脈があります。

主に遊牧民として、カザフ族、キルギス族、回族、モンゴル族、など多民族が暮らす地です。採蜜地で使われているウイグル語名は天の山を意味するテンリ・タグ(تەڭرىتاغ Tengri tagh)。漢名はこれに由来しています。

日本からは飛行機で上海か北京を経由し、新疆ウイグル自治区のウルムチまで飛び、ウルムチから小型の飛行機でイーニンへ行きます。更にオフロード車で陸路を10時間。日本からは3日とかかる、まさに秘境の地で採蜜しています。

 

朝には燦々と太陽の陽が降りそそぎ、夜には煌々とした月の光が降り立つ大地。美しい野生薬草植物が生い茂り、多様性豊かな草原がどこまでも広がる。

高き山々からの雪解け水が、幾重にも折り重なる地層に時を巡り湧きいで、流れる場所。

 

そんな天山で採られた天山蜂蜜の極上の香りと味わいは、古来より稀少なものとして現地でも珍重されてきたと共に、ヨーロッパを中心とした王侯貴族に愛されてきました。

現在においても、天山蜂蜜のほとんどは、欧州貴族を中心に買い求められ、日本ではほとんど流通していません。

 

古くからの伝統をつなぎ現地で暮らす遊牧民たちは、毎日のようにヨーグルトとはちみつを食しており、毎朝ツボに入った天然の蜂蜜や、フレッシュバターやパンなどが食卓に並びます。

 

 

tenzan

2013年第37回世界遺産委員会プノンペン)にて、新疆ウイグル自治区内の4つの保護区がUNESCO世界自然遺産に登録されました。